ミステリーの中には、ジャズが重要な役割を果たしている小説がいくつかある。
ロンドン在住の作家レイ・セレスティンの「アックスマンのジャズ」は、1919年のニューオリンズが舞台だ。ニューオリンズは御存知のようにジャズが生まれた街だ。小説は、「ジャズを聴いていない者は斧で殺す」という犯罪予告で始まる。
ルイス・アームストロングというコルネット奏者の少年が小説の中で重要な役割を果たすのだが、名前からも分かるように、ジャズ界の巨人ルイ・アームストロングをモデルにしている。1919年のニューオリンズ、街の喧騒、そして、その中から生まれてゆくジャズ…、ニューオリンズ・ジャズ・ファンならずとも、ジャズ好きなミステリー・ファンを惹きつける設定だ。
宗谷圭介の「マイ・フェイヴァリット・シングスをよろしく」は、1969年の返還前の沖縄が舞台で、ジョン・コルトレーンの演奏などで有名なスタンダード・ナンバー「マイ・フェイヴァリット・シングス」が、主人公の女性の殺された恋人の死の謎を解くカギになっている。カーメン・マクレエのアルバムやホーギー・カーマイケルの名曲「スターダスト」も謎解きの重要なカギになるなど、こちらもジャズがミステリーの中で重要な役割を果たしている。
どちらも、ミステリーの中からジャズが聴こえてくる、ジャズ・ファンには一読してほしいミステリーだ。



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